西日本大学OB・OG囲碁会

梔王第二十四号( 2018年9月発行 )

Essay from Members

爆走!インドア中年琵琶湖自転車一周夫婦旅

甲南大学OB 梅本勝巳

 今年のGWを利用して、自転車で琵琶湖一周に挑戦して来ました。一昨年の春に突如Ⅰ型糖尿病を発症して、今までの運動不足&出不精にさらに拍車がかかってしまったのですが、あまりの引きこもりっぷりに妻が見かねて去年のGWにしまなみ海道自転車旅行を企画してくれたのがきっかけになりました。
 今回は2泊3日の日程で挑みました。若いライダーさんならば一日で走破するみたいですが、私は50歳越えのインドア中年なことを考慮して、妻が余裕を持って計画してくれました。それでもハプニングは付き物で、初日は彦根港からマキノ港まで船に乗ってショートカットする予定が波が高くてまさかの欠航。自力での峠越えを余儀なくされる羽目に。さらに途中で妻の自転車に傘の骨が巻き込まれる事故も発生して、なかなかスムーズには行きませんでした。それでもレンタサイクル屋さんの助けも借りて、陽のあるうちに何とか宿に到着しました。2日目は午前中カヤックで遊んでから、昼間ゆっくりサイクリング。3日目は午前中だけで、景色を楽しみながら悠々ゴールしました。
 いろいろトラブルもありましたが、なんと言っても景色がきれいなので疲れも吹っ飛びます。特にきつい坂越えがあったあとは奥琵琶湖の絶景が待っています。そして宿に着いた後のビールのおいしいこと!そして料理のおいしいこと!さらにお酒のおいしいこと!しかも翌日にも運動が待っているので、いい感じにお酒の量をセーブして二日酔いになりません。ゆる~い感じで運動不足を解消されたい方はぜひ一度お試しください。来年は淡路島半周が目標です!

着任ご挨拶

東日本大学OB.OG囲碁会会長 寺田 浩(日本大学)

 2018年4月より東日本大学OB.OG囲碁会の会長に就任いたしました。当会が関東大学OB.OG囲碁会として発足し早くも、四半世紀が過ぎました。発足当時の唯一のメンバーであった坂本前会長も退任され、発足時のメンバーは一人もいなくなりました。
 重責を引き継ぐ事となり 微力ながら頑張りますので、宜しくお願いいたします。
 最近の囲碁事情について、囲碁だけは、コンピュターは人間を超える事は難しいと言われ続けていましたが、AI 人工知能の登場で、あっさりと覆り 現在では世界のトッププロ棋士が2子置いてもAIに勝てないであろうという説が有力視されています。
 これには、私自身も衝撃を覚えましたが、人間同士の対局が色あせるものでは無く、プロ棋士もAIの研究に余念がなく、日々進化しています。囲碁は、奥深く、進化するゲームであり、決して廃れるものではないと改めて確信いたしました。
 そこで、当会の目的、理念は囲碁の普及、発展ですが、私の考えを少し述べたいと思います。
 今から20年程前、若者の囲碁離れが,深刻な状況となり、多くの大学囲碁部が、消滅した時期がありました。又ほぼ同時期、プロの世界でも日本は 若手の育成が遅れ、韓国、中国の後塵を拝する時代が続いている為、漸く日本棋院も若手の育成に乗り出し、その一環として大学を始め、小学校、中学校、高等学校の正規の授業に囲碁を採用する学校が 急増しています。
 日本碁界も漸く、底辺が広がり始め 近年、プロ、アマを問わず、若手の台頭が、目覚ましいものがあります。
 日本は、少子高齢化が急速に進み、囲碁の競技人口は、減少傾向にあるようですが、子供や若者、女性の囲碁人口は、着実に増加しており、将来的には、全く問題ないと考えます。当会は、大学囲碁部OB会の集団であり、20代前半の若いOBから80代まで、幅広い年代の人達がいます。当会の性質上、各大学共に大会参加者は、年配者が多く、若いOBは少ないのが現状ですが、今後は、若いOBOGも気軽に参加出来る会 にして行きたいと考えております。
 これが、囲碁の普及、発展には、必要不可欠であると思います。
 西日本大学OBOG囲碁会の皆様におかれましても、日韓大学OBOG交流戦及び、東西大学OBOG交流戦の際は、引き続き、ご支援、ご協力の程、お願い申し上げます。

囲碁AIの登場と、これからの囲碁界

立命館大学 小野 拓馬

 囲碁AIが台頭して久しい。その進歩は目覚ましく、今はトップ棋士が2子置いても勝てないレベルまで強くなっている。今の時代、囲碁は個人の努力次第でどこまででも強くなれるのではないだろうか。江戸時代では、定石や布石、果ては詰碁まで門外不出であったと聞く。そのため、師匠に破門されたり一門の中で嫌われたりすると、学ぶ場所がなくなってしまったことだろう。ところが今では膨大な数の詰碁集が出版されているし、プロ修行している人向けの難しい本もある。それに加え、天頂の囲碁7などのプロ棋士に匹敵する強さを持ったソフトも簡単に手に入る。いやはや、本当にすごい時代になったものである。1万円ちょっと払うだけでプロ棋士の指導碁を永遠に打ち放題だし、いつでもどこでも検討してもらえる。しかもこの検討がまたためになる。どれだけ打って検討しても嫌な顔一つされない。江戸時代の碁打ちたちが現代に現れたら、この勉強し放題の環境に絶句するに違いない。
 本屋の囲碁書籍コーナーをのぞいてみても、AI関連の本が増えている。インターネットのライブ中継でも、AIを使用した解説が導入されつつある。野狐囲碁というサイトでは、強豪AI「絶芸」が局面ごとの評価値を出してくれるにとどまらず、多彩な変化図まで表示してくれる。プロの先生もAIのおかげで仕事がやりやすくなるだろうし、インストラクターの方でもAIを指導、解説に生かしたりすることができるようになってきている。プロでなくても、ソフトさえ使えれば解説の仕事ができる時代になった。
 また、詰碁の世界においてもこの余波は押し寄せている。アマチュアが詰碁を作っても、そもそも問題として成り立っているのか、正解手に穴はないかの確認など、棋力的に難しいことが多かった。しかし詰碁ソフトを使えば失題チェックも簡単にできるし、少し石の配置を変えて問題として成立している形を探すというテクニックも使える。筋を頭に思い描いてから詰碁を作っていく人からすると邪道なのだろうが、適当に詰碁っぽい形をこしらえ、少しずつ石をずらして詰碁として成立している形を探す、という作者が今後増えてくると予想している。現に私は筋を思い浮かべて詰碁を作ることはできないが、ソフトを使い細切れ時間で1日1題作っていたことがある。調子が良ければ1日10題作れることもあった。詰碁作家への道のりも、ソフトの出現で大分平坦になってきていると感じる。ただ、こうなると「詰碁作家」ではなく、「詰碁発掘家」という言い方が正しいのかもしれないが。
 これからも我々アマチュアが学ぶ環境、表現する環境はますます整備されていくに違いない。実に素晴らしいことであり、この時代に生きることができることをうれしく思う。
 最後に、いろいろとAI囲碁の話をしてきたが、囲碁の魅力とはつまるところ人と打つことだと思う。気の置けない友人同士で集まり、対局し、検討する。終わったらちょっと一杯、というのが私の至福の時間である。AIをうまく活用し、今後も囲碁を楽しんでいきたいと思っている。

問題1 白番
黒 小野拓馬 白 絶芸
私と中国強豪AI絶芸の2子局。左上はアルファ碁マスターが打ち始めて流行している定石ですが、ここで絶芸はどう打ってきたか?

棋譜

問題2 白番
アルファ碁ツールより、部分の問題
最近流行の三々入り定石。ここでアルファ碁は細かい芸を披露してきました。
白2の下のサガリ以外の手を考えてください。

棋譜

問題3 黒
朴廷桓九段 白 アルファ碁マスター
2016年度末のアルファ碁マスター対トップ棋士60連戦の内の1局。
黒33となったところで、白の次の一手は?

棋譜

問題1 解答
解答は白1のツケ。打たれた時は「え!?黒2に切られたらどうするの!?」と思って切ってみましたが、黙って白3のツギが上手そうな手。三子を無理に取りに行くときれいにシボられるため、実戦は黒4からからから変化。配石にもよりますが、天頂の囲碁7によると白がポイントをあげているようです。黒2で5のノビもありますが、基本上辺はもう何を打っても利かない態勢で考え、左辺を制して悪くないようです。柔らかい発想ですねぇ。

棋譜

問題2 解答
解答はなんと白1の1線へのオキ。図のようになると下がって2目を取るより地を得していますし、黒8で1線へのサガリも利かなくなっています。善悪は別として、面白い筋と思ったので紹介した次第です。

棋譜

問題3 解答
解答は白1のカタツキ。白11までとなると、黒のキリの威力を封じて中央が厚くなり白良しです。天頂の囲碁7によると、本図の時点で白の評価値は60まで上がっていました。

棋譜